散文誌

日記・小説

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Category: 感想文  

(ハル)という映画を観た

物語は90年代の中頃。パーソナルコンピュータが日本にも普及し始めた頃、パソコン通信というインターネットを通じて他人とコンタクトを取ることが、一部のマイノリティたちの間で流行っていた時代。

アメフト選手として実業団に入ったものの、腰を悪くして選手としては終わってしまい、会社の営業マンに成り下がった(ハル)と、学生の時から交際していた恋人を事故で亡くし、どう生きていけばいいのかわからない(ほし)の、メールでの交流を描いた淡いラブストーリー。

今では当たり前のようにネットを介して他人と交流を深めることが出来るけれど、この映画の頃は、大変珍しいことだったんじゃないかな、と思う。
当時のPCの値段、ダイアルアップという接続方法、それに伴う回線費用。社会人か、もしくは裕福な家庭の子供しか持ち得ないものだっただろう。
そんな狭い世界で、ハルとほしは映画フォーラムという一つのHPの中で知り合うこととなる。
メールを通じて、お互いのことを、少しずつ知り、あっていく。その出会いと過程は、子供の頃の交換日記のような、隠しておきたい秘密の交流のようで、なんだかとても憧れるものがあった。
ラストシーンは、ネットの枠をこえて実際に会うシーンで幕を閉じる。なんだかとても印象的なシーン。二人はネットを通じて既に心で会ってはいるけれども、リアルで会うことははじめてのことで、二度目の出会いなわけだ。心で会い、身体で会う。
そのプラトニックな付き合い方ともどかしさは、忙しない現代社会への投げかけのように思えた。ゆっくり、友情や愛を育むことって、なんだか素敵――そう思った。
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