散文誌

日記・小説

Sort by 08 2015

Category: VIPでテキストサイト『共通テーマ』  

『自殺スレ大量発生』のあらまし

2chに入り浸っていると、よく「趣味がない」という人の話を目にするが、これは間違いであると僕は思う。趣味といえば、スポーツや教養、創作といった物事を挙げるけれど、別にそれじゃなくても良いと思うのだ。一日のうちの何刻かを好きな行為に費やせば、それは立派な趣味だと言えまいか。
そう、好きな行為。よくやる事と言い換えてもいい。
例えば生活習慣にしても、食事や風呂が嫌いという人はそうはいないでしょう。美味しいと評判のお店で食事をしたり、健康ランドなどのリラクゼーションルームで身体を癒したり、そういう特別な事をしなくても、日々の些細な習慣が、当たり前の事ですが「好きな・よくやる行為=趣味」であると言えなくもないですよね。言えるはずです。少なくとも僕はそう考えます。

故に、私は声を大にして云う。趣味はつーちゃんねるであると。
匿名性が保たれた便所の落書きという気楽なぬるま湯にどっぷり浸かる。煽って卑屈な喜びに浸り、煽られて顔を真っ赤にし、そして時には、恥も外聞もなく自分語りに精を出す。そう、自分語り。政治に関する私見も、他人に対する意見も、言ってしまえば自分を語っているのです。意思の交換。それが気楽に出来ることがツーチャンネルの良さであり、入り浸る原因だと、愚考する次第です。

ですから、2chで「死にたい」と嘆く憐れな自分語りの叫びが、自殺スレ大量発生という珍事に繋がったとしても、別段、驚くような事ではありません。年間の自殺者三万人という数字が、潜在的な自殺者予備軍を物語っていますし、ほぼ毎日のように誰かが「死にたい」とスレを立てている現状をみると、不思議ではない、と言いたくはなるのですが、これが、とある一日のうちにおこった出来事であるという現実からは逃れられない。であるならば、何やらきな臭いモノを感じずにはいられませんよね。

仮にその日をスーサイド・デイと名づけましょう。現場は雑談系2カテゴリーの中では狼と双璧をなすVIP板です。スレッド保持数が六百前後の板で、ゴールデンタイムには十分ほどで、レスが無ければdat落ちしてしまうほど、人の多い板です。

事件の始まりは午後八時ぐらいでした。偶然、「死」を意味する文言がスレタイに入っているスレが、十数個ほど乱立しました。死にたいと嘆くだけあって、各スレの>>1は、レスが付く度にグチグチネチネチとレスを返していきます。誰かに聞いてもらいたくて仕方が無い、そんな悲鳴にも似た自分語りの熱は、そうそう冷めやしません。自然、各スレは勢いを上げていき、目に付きやすい位置に固まっていました。スレ番一から百の間に、十数個の「死」スレ。それだけのスレが立っていれば、確実に目に付き、そして異変に気づきます。あれ、なんかおかしいぞ、と。
そう思ったある一人が、悪戯心からでしょう、「自殺スレ多くね?」といった旨のスレを乱立したことが、このスーサイド・デイをスーサイド・デイたらしめた行いだったと言えるでしょう。

季節は夏、夏休み真っ盛りの時期です。「夏厨」という言葉が至る所で散見されるサマーデイズに、マナーなどどこ吹く風、便乗しない手はなかったのでしょう。あっという間に自殺スレが大量発生し、鎮火までに小一時間を要した、というのがスーサイド・デイの大まかなあらましです。

祭りとも言えない小さな小火騒ぎは、線香花火のような刹那の薄命に終わり、この事件も、ネット百科事典などでまとめられることなくその存在を抹消されるのでしょう。ですが、それで良いのです。ネットの大海、その場末の便所の落書き板など、その程度の存在が、丁度良い。それで、丁度良いのです。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
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ここがどこなのか分からない。なぜ走っているのか分からない。前方の暗闇を侵食するように、背後から暗赤色が迫り来る。炎にも似た揺らめきは、踊っているかのようだ。

悲鳴と怒号が飛び交い、それに折り重なるようにして耳を聾する衝撃が、只事ではないことを認識させる。混乱に陥ったのであろう人々が、視界をうるさく遮っていった。

腰を抜かし立ち上がれない者。やみくもに逃げ惑う者。呆然と立ち尽くす者。それぞれの混乱ぶりが、異常事態だと告げている。なにが起こっているのか分からない。そのことが恐怖を生み、混乱に拍車をかけた。

ただただ前を向いて走った。足元を揺らめく暗赤色は、変わらずぴったりと後を付けてくる。走ってさえいれば振り切れる。頭はそのことで一杯だった。鼓動が脈打つたび、発汗の雫が五体を滑っていく。

赤い恐怖から逃れるために暗闇へとひた走る。そのことにどこか不安を覚えたとき、ふっと頭上に何かが翳った気がした。目を上げると、とてつもなく巨大な何かが迫ってくることに気づき、次の瞬間、


はっと目が覚めた訳なんだな。びっしょりと汗をかいた体が、血塗れではないと気づくまでにしばらくかかった。それほど夢に囚われていたんだろう。普段、夢はみても内容まで覚えてないことが多いのに、こういう嫌な夢に限ってよく覚えているのは何故なんだろう。記憶のメカニズムがどうなってるのかなんて知らないけど、嫌な出来事ってのは好い出来事より記憶に残りやすい気がするんだよね。その事と関係があるのかどうなのか、ちょいとググってはみたものの、学術的な記述ばかりで目が滑る。まったく頭に入ってこない。こういうなに、あかでみっくな文を読むたび思うんだけど、まず結論を馬鹿でも分かるように平たく書いてくれないかな。そのあとで存分に専門用語を駆使してつらつらと書き連ねればいいとぼかぁ思うんです。その方が馬鹿に優しい。馬鹿に優しく。馬鹿に優しいなお前。

作戦名:馬鹿に優しく

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