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散文誌

日記・小説

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Category: 日想  

ゲームでレアアイテムをゲットするために、何度も同じモンスターを倒していると、うつらうつらと船を漕ぎ出してしまう。ライトの明滅のような意識の狭間で、時折鳴り響く効果音が、まどろむ僕の内耳を貫き、ハッと覚醒させる。そうして大抵の場合、寝ぼけ眼でみる画面には、パーティーの誰かが無残にも死んでいる場面に遭遇する。

そうならないためには別のなにか、意識を持続させ得るに足る力が必要で、僕はよく、fc2等の配信サイトで動画をながら観している。映画やドラマの大半はこうした配信サイトで観ることが多く、無駄に観た数だけは増えていく一方で、ながら観の弊害か、どんな内容だったか思い出せないモノが大半だ。
「おっ、観た事ない映画をやってるな」と思って観てみると、どことなく見覚えがある、といったことがよくあるのだ。(これは知っている)と、僕の感覚が告げている。なのに内容を思い出せない。

「あれ?これ観た気がする……うん、ここ観た覚えがあるな……あら、こんなシーンあったかな?……えっ、ラストこんなんだったっけ?」

まるでピカソの絵のような外観の、奇妙なデジャブの森の中をさ迷っている、そんな感覚に陥る気色の悪さ。在るべきモノが在るべき場所にないような何ともいえない不快感。



そんなことを感じる一方で、よく覚えているモノも存在する。

日本の古い刑事物ドラマなんだけど、ながら観した当初は大して面白くなかったんだ。他のモノに変えようかと、配信サイトを巡ってみたけど、どうもこれより良さそうなのがない。だから仕方なく観てた。「こいつ、犯人っぽいな」とか、「そんな動機で人を殺す奴はいねえよ」なんて思いながらね。ちょくちょく盛り上がるシーンはあるんだけど、全体的に地味で、ぼーっと観てる時間のほうが多かった。
そうして意識がふわふわしてるときに、突然、名前を呼ばれたんだ。僕の名前を。それも、苗字じゃなく下の名前のほうだったから、余計に、ってのもなんだかヘンだけどびっくりしちゃって。
なんだなんだとドラマを観ると、強面の男がすげぇ暴行してんの、女性に。その女の人は僕の名前を呼びながらヤメテヤメテと懇願してて、どうやら強面の男が僕と一緒の名前のようなんだけど、一向に手をとめないんだ。パァンと小気味いい音の平手打ちが飛んで、女の人が突っ伏して泣き喚くのをよそに、男は女のモノと思われる財布から金を抜き取ると、口汚く罵りながら女の人に覆いかぶさり、荒々しく行為をおっぱじめようとした所で場面転換するんだけどね、しばらく動悸が収まらなかったよ、いやぁびっくりしたね。

そこから食い入るようにみてて、結局おとこは女にヤられるちゃうんだけどさ、なんていうか、すげぇ感情移入しちゃってね。最初はひでぇ男だと思って嫌悪感丸出しだったんだけど、途中、男の悲しい過去のシーンなんかあったりしてさ、あぁ、こいつにもこうなった悲しい原因があるんだな、って同情しちゃって。クライマックスの死んじゃうシーンではさ、男が今際のきわにこう言うの、「すまなかった、でも愛してる」と。その瞬間ぼくの涙がちょちょぎれてね、ほんと可哀想なやつだなと、暴力でしか人を愛せない悲しい人間なんだなと、もうすげぇ泣けちゃってね……。

まぁでも覚えてるのはこのエピソードだけなんだけども。

ともあれ新鮮な驚きだった。自分と同じ名前の配役がいるだけで、こんなにも感情移入できることに。



自分と同じ名前の配役がある、ドラマなり映画を探して観ることが、今の僕の、密かなまいぶーむ。
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