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お題バトン『自分の中の許容範囲』

許容範囲ってのは意外と狭いもんだ。他人にとって気にはならない些細なことが、自分にとっては我慢ならない重大なことだったりする。反対も然り、自分にとってどうでもいいことが、相手にとっては堪えられないこと、だったり。人間関係は煩雑である反面、そういう小さな齟齬や違いがあるからこそ面白いのかもしれない。

しかし、他人に対しては狭いといえる許容範囲も、こと自分自身に対してだと、その範囲は意外と広いのではなかろうか。自分自身の行動に関しては、それが他人だったら許せないことも、自分だったら許せる、というより、なにかと理由や言い訳をこじつけてその行動を自身に許してしまうことが、意外と多い気がするのである。

例えば一般的な家庭で育ち、常識的な行儀を身につけた人が、一人暮らしを始めてしばらくすると、それまでの行儀を無視した行動をとることが往々にしてある。フライパンで調理した料理を皿に盛り付けずにフライパンを皿代わりにしたり、ペットボトルなどの飲料をコップに注がずに直で飲んだり。
めんどくさいし、誰も見てないからいいや――。そういう気持ちが、徐々に自身の行動に対しての許容範囲を広げていくのである。

子供の頃、早く大人になりたいと、誰しも思ったことがあるのではなかろうか。家庭では家族の、学校では教師や同級生の目が、規則が、コルセットのごとくぎゅうぎゅうと自身を縛りつけて離さない。だから早く大人になりたいと思う。この束縛から自由になりたいと思う。しかし、そうして自由になった途端、それまでの箍が外れて一気に自堕落になるのが、人間というモノなのではないだろうか。少なくとも、僕はそうである。

例えば、風呂。あるとき、尿意に我慢ならなくなり、シャワーを浴びながら放尿したことがあった。それまでの僕なら、ありえないことである。許容もなにも、そもそもそんなことありえないのであるから、範囲の外だ。量る対象でもなんでもない下劣な行ないである。しかしながら、そのときの僕は非常に疲れていた。綺麗にしてからじゃないと寝られないというそれまでの常識が、重い身体に鞭を打つ。そうしてすぐにでも横になりたいという気持ちをなんとか押し留めながら、シャワーを浴びていたのだ。そこに、トイレに行くというもう一打擲など、耐えられないし耐えたくもない。それに、誰もみてないしいいじゃないか――。そんな悪魔の囁きが、常識という名の防波堤を瓦解させ、迸る尿意を開放に導いたのである。

一度壊れたモノは元に戻らない、という。それからというもの、僕は似た状況に陥ると、同じことを繰り返すようになり、いつしか、シャワーを浴びていると尿意を催し、小便を垂れ流すようになった。
堕落、である。僕は自由を手にした途端、それまで自己を律していた束縛から解放され、培ってきた常識の許容範囲を大幅に引き下げたのだ。ここに、自由という言葉が持つ危険な側面を見出すことができる。巷では自由と自堕落を一緒くたにして、都合のいい「自由」という言葉が独り歩きしている感があるが、これは裏と表であり、ほんの紙一重の差でしかない。自由という言葉に表される行動や思いは、ほんの少し踏み外しただけで、堕落に落ちる、かぼそい一本の細い橋のようなモノなのである。

誰もみていないから、めんどくさいから、いいや。そんな思いから踏み外した堕落への降下は、気がつかないところで、さまざまな影響を及ぼしているような気がしてならない。たとえ誰もみていなくとも、めんどくさくとも、たしなめるべきところはたしなめてこそ、子供の頃なりたかった大人の、あるべき姿なのではないだろうか。そう、自戒の念とともに想う今回のテーマでした。



ちなみに、他人が風呂場で小用を足していたとしたら、僕は許容できない。自分もやっているんだからいいじゃん、なんて声が聞こえてきそうだが、それは通らないな。自分の小便なら構わないが、他人の小便など、触れたくもないし近づきたくもないのは誰しも同じだろう。そして想像する。たとえ綺麗に洗い流したとしても、こいつの身体には汚らわしい排尿の残滓がこびりついているのではないか、と。そうおもうと、途端にそいつが汚らわしい生き物のようにみえて、その体臭も、口臭も、小便の香りがぷぅんと臭ってきそうで、とてもじゃないが許容なんてできない、という気持ちになるのだ。致し方あるまい?なんだろう、そういう、ある意味ダブルスタンダード的な矛盾を自己正当化するエゴこそ、人間の持つ本質の偽らざる真実かもしれないね?なぁんて。
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