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sex 添削

 人は見たいものを見て、嫌なものには見向きもしない生き物だ。現実よりも理想を追う
悲しい生き物。自己の欲求に忠実な目で物事を見、ときには絶賛し、ときには酷評する。
 目の前の男も、きっとそんな愚かな生き物の一人なのだろうか。
「ぐふふふ、可愛いなあ、名前は何て言うのぉ?」
 整髪料を付けすぎたのか、テカテカとした七三分けに、度が強すぎるのか豆粒といって
差し支えないほど小さな目は黒縁眼鏡越しに私を見ている。正直、こういった手合いには慣れたつもりでも、時として吐き気を催すことがある。この油染みたオスも、その例外ではなかった。
「うふふ、なんていう名前だと思う?」
 にっこり笑ってそう問いかけてやると、男は待ってましたとばかり、さもうれしそうに口を開く。
「ルイズだね? ああルイズルイズゥ~」
 外国人の名前を、これみよがしに連呼するこの男の醜態ときたらどうだろう。もしも人間博物館があったとしたら、この男は間違いなくそこに入れられるはずだ。日本の恥部という題で飾られた男に、外国人は興味津々で眺めることだろう。そう思うと笑いがこみ上げてきて、ついクスっと笑ってしまった。
「――なんだけど、って、ルイズちゃん、そこは笑うポイントじゃないよぉもう」
 男が突っ込みを入れてきた。どうやら何かを話していたらしいけれど、私は上の空だったらしい。どうせくだらない話だ、耳に入れるのも煩わしい。とっとと終わらせてしまおう。
「あら、ねえ、ここ、こんなに大きくなってるのはなんでかなぁ?」
 そのルイズというキャラクターについてはまったく知らないが、着させられた服からしてセックスアピールの強い女性キャラクターなのだろう。私は十分に媚態を含んだ声で男を誘惑した。
「えっ、こ、ここはね、ほら、その――」
 突然、話の矛先をエッチな方向に持っていったせいか、男はどもりながら答えようとする。その声をさえぎり、私はおもむろに男の恥部へと手を這わせた。
「ほら、こんなに大きくなってる。苦しいんじゃなぁい?」
「く、苦しいよ、ルイズ。でも、まだ――」
 くだらない妄想劇に付き合うのはもうたくさんだ。私は強引に男のズボンを下ろし、パンツ越しにそそり立つ肉棒を掴んだ。
「ほら、こんなに苦しそう。早く楽にしてあげないとね」
 男に微笑みながらそう告げると、私はパンツを下ろし、手で肉棒をこすり始めた。すると男は、いやいやしながらも愛情を求める赤ん坊のように、上半身を煩悶させている。なんて気持ちの悪い光景なんだろう。と、男が何か声にならぬ声をあげると、白いものが私の手から垂れている。どうやらこの男、早漏らしい。最初見たときは嫌な客だと思ったものだが、早漏というのは大きなポイントだ。私は男をランクを、底辺から二、三歩上昇させた。
「うふふ、一杯でたね。ちょっと間って、今ふき取るからね」
 そう言いながら、ベッド脇の小台においてあるウウェットティッシュを取りつつ、男の態度の変化に気づいた。今までの醜態ぶりが嘘のように縮こまり、おずおずとしている様は、まるで母親にしかられるのを怖がっている子供のようだ。
 ささっとふき取り、貝のように自分の殻に閉じこもった男の相手をしているうちに、終了時刻を知らせるコールがなった。時間だ。私はほっと息をつき受話器を手に取る。
「終了5分前です。延長などはありますか」
「いえ。大丈夫です」そういって受話器を置く。男はそそくさと退室準備を済ませて、今にも出て行かんとしていた。この豹変振りは何なのだろう。そんなに居心地が悪いっての?それって失礼じゃない?と一瞬、怒りが湧き起こるのをなんとか押しとどめ、黒服に
今出ます、と告げた。
「もう時間みたい。こんなに早く時間が過ぎるのなんて初めてだったわ。また、来てね」
 そういって男の頬にキスし、そそくさと退室する男を見送る。ああいった手合いはいつも終わった後、まるで私たちが汚いもののように逃げ帰っていく。私たちが汚いのは、世間一般の常識に照らせばそうなるだろうけれど、じゃあそんなきたない女たちに性処理をさせているおまえらはどうなんだ、と私は男に向かって言いたかった。しかし、そんなことを言えば客は取れない。私たちはショーケースの売り物さながら、ただ使われるだけの存在でしかないのだから、心を殺して、客が来れば歓待するしかない。私たちはおもちゃであり、壊れれば捨てられる人形に過ぎない。そんなことを思っていると、次の客の訪ないを告げるコールが鳴り響いた。私は受話器に手を伸ばしながら、次の男はどんな人だろうとぼんやり考えていた。

終わり
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