散文誌

日記・小説

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お題『アンドロイド』

 かちかち、とブラウザ上をクリックして、ニュースなどのトピックスを見ていく。
パソコンを買ったころからのこの習慣は六年後の今でも続いていて、大してニュース
などに興味もないのに、ついつい見てしまうこの癖は、自分でも不思議で仕方がないの
だがやってしまうものはしかたない。逆にやらなければ変な感じがしてイヤな自分がいる。
そう、これはもう俺にとっての儀式であって一日のリズムを刻むためには通過しなければ
ならない一つの通過点なのだ――。なんてことを考えながらニュースの欄を眺めていると、
ある記事が目にとまった。

>『青少年厚生施設会館』が開講、最先端の技術であり媒体であるアンドロイドを君に!

 なんて書いてある。読みすすめていくうちに、要約がわかった。つまりはこうだ。
一に、ニートや引きこもりの支援施設であり、ニに、生活必需品とまで化したアンド
ロイドについての講義を受けられる。三に、その本講卒業者にはなんと大手メーカーの
社員としての道も用意されている、ということらしい。いつものごとく、胡散臭い記事
ではある。しかし、俺の目を惹いたのは、無料、という二文字だった。
 タダに勝るものはない。しかも寝食付きで専門講師から実践技術を学べる。これほど
うまい話があるだろうか? ないね。ない。でも、もし裏があったら――。
 そんな思考を遮るように、ポーンというシステム音が鳴り、メールが届いたのが
分かった。開いてみると、俺にとっては毎度おなじみミンクからのメールで、早速
メールを開いてみる。するとそこにはこんな文章が書かれてあった。

>もう会議始まってるけど、まだ来ないの? てか寝てんの?

 いつもながらミンクのせっかちな所にちょっとイラっとしつつも、すぐ行くと返信する。
スカイプを立ち上げると、ものの数秒でコール音が鳴り響いた。どんだけせっかちなんだよ、
と思いつつ、ワイヤレスマイクを耳にかけ、通話に出る。
「おせーぞユウ、いつまで寝てんのぉ? 日本人の癖に時間も守れないとか終わってるし」
 そうそうにミンクの、女にしか出せないあの、なんというか表現しづらいヒステリックな
感じというか、とにかくそんな特有の、小ばかにした言い方にイラッとする。
「まあまあミンクさん、遅れたって言っても五分ぐらいじゃない。めくじらたてないたてない」
 ナイツさんは打って変わって気が小さそうな、優しいお兄さん的な声。もう2年ぐらいの
付き合いになるが、怒った声を聞いたことがない、温厚な人だ。泣き声はあるけど。
「そお? まあ、ナイツさんがそういうならいいけどさぁ」
「あーもう、朝からうるさいんだよおまえは。その口調直さないといつまで経っても処女の
ままだぞ。あっ、そのまえにデブだから相手にされないか」
「はぁ? マジむかつくんですけど。チョベリバなんですけどぉ?」
「死語使ってんじゃねーよババア。羊水と一緒に脳細胞まで腐り始めてやがんのか。
時代に取り残され、売れ残るミンクばあさん哀れ合掌、チーン」
「合掌とかウケるんだけど! つかなになに、ユウ君はぁ、もしかしてっつうかifっつうかぁ?
わたしにぃ、こ~い~しちゃったんだったぶん? きづいてな~いでしょぉぉぉ?」
「は? ありえないから。その足りない頭で考えてみろよ。俺と、ふん、おまえが? つきあっちゃう?
確立を? A~han?」
「おまっ――」
「はいっ! そこまでっ! それ以上いいっこなしっ! じゃないと僕もう帰るよ」
「ごめんナイツさん、ミンクがいつものやつやんないと調子でないらしくてさ」
「それはアンタでしょ! いい加減にしろよっ!」
「はいはい、僕がわるうございました、ミンクお嬢様」
「……うむ、わかればよろしい」
「ふぅ。さ、いつものつまらない夫婦漫才が終わったところで、今日の会議、何するか覚えてる?」
 会議。そういえば何の会議だっけ。そもそもこの会議って何で始まったのか一瞬わからなくなる。
「あれでしょ、あれ。ほら、あれよあれ」とミンクがおいおいオバちゃんじゃねーかと突っ込みたく
なるようなオバさん定型文ベストスリーみたいな事を言い、呆れ、まあミンクなら仕方ないかと独りごちる。
「……ミンクさん、もしかして、覚えてない?」
「いやや、覚えてるんだけどね、そのぉ、あの、言葉が出てこないのよ、これが不思議なことに。
なんだったっけなあ、ユウ?」
「実は俺も覚えてない、ごめんナイツさん」
「……そ。まあ、なんとなく予想はついてたけど、まいっか」
「おkおk、後ろを見てもしょうがないよ、前だけ上向いてあるいてこっ!」
「おまえが言うと説得力ないけどな。で、忘れててなんだけど、今日の会議なんなの?」
「……今日の会議はね、僕たちニートが、いつこの環境から自立への道を辿れるか、その方法を
話し合う会議、だったんだけどね」
「あー、そうそう、そだったねぇ。でもウチ、やっぱりまだコワいなあ、働くこと」
「ああ、もちろんいますぐ、というわけじゃないんだよ。ただ、いつまでもこのままじゃいけないし、
いつかは自立せざるをえない状況になると思うから、その前になんとかしよう、ってことだよ。
そもそも、僕たちがこうして話してるのって、対人恐怖症で、人と話すのが苦手だったから、それを
克服するためにはじめたものだったじゃない? それで、僕がこういうのもなんだけど、話すことに
関してはみんなわりと慣れたんじゃないかなと思うのね? だから、これを機に、どんなカタチでも
いいから、一歩、踏み出してみない? っていう会議だったんだけど……、ユウはどう?」
「んー。俺は賛成かな。いつまでもこうして話してても、前には進めないしね。怖い気持ちはあるけど、
二人が一緒ならさ、なんというか、頑張れる気がする、かな」
 本音に触れると、やっぱり緊張は隠せなかった。外へ出て、何かをする――そう考えるだけで、胸が
ドキドキする。でも、俺にはミンクとナイツがいる。口には出せないけど、二人にはすごく感謝してる。
顔も知らない二人。mixiの同市内ニートのコミュで知り合って、早二年。この二年間の付き合いで、多少、
友情、なんてものが俺の中に生まれ始めている。そのことを悟られたくなくて、俺は二人にそっけなく付き
合っているけれど、二人はそれを当然のように向かい入れてくれる。地獄だった高校生活、死にたかったあの頃。
俺が今生きているのは、二人がいるから。そう言っても、過言じゃない。二人には絶対に、いわないだろうけど。
「うん、そうだね、三人一緒なら、大丈夫だよ、きっと」
「そだね、ウチもそう思うよ」
 照れくさそうに、ハニカミながら言う二人の顔が想像できて、ちょっと微笑ましかった。なんだか、幸せ、
ってこういうことなのかな、なんてクッサイ言葉が浮かぶ。
「それでね、僕、まずはボランティアから始めたらどうかと思うんだ。公園の清掃とか、海岸の清掃とか。
話の出所は引きこもり支援の人で、ほら、前に入らされそうになったときから、知り合いなんだけどね。
その人がうちにこの前来て、ボランティアはどうか、って話を聞いたんだよね。まだ返事はしてなくて、
僕、二人が行くなら行こうかなと思うんだけど、どう、かな?」
 ちょっとした逡巡。いくか、いかざるべきか。俺は二十歳で、二人の本当の年齢は知らないけど、ナイツさんは
話し方とか、物腰の柔らかいところなんかを見て、もうすぐ三十ぐらいなんじゃないかな、と思ってる。
ミンクは俺と同年代だろうか。女はよくわからないけど、ミンクがはじめて自己紹介をしたとき、二十三歳、
デブだと自己申告したことから、俺は事あるたびにデブと意地悪を言ってしまう。だからだろう、俺の中の
ミンクのイメージは、ボッチャリとした女性の人、でしかない。声以外深くは知らない、いってみれば声だけの関係。
その希薄さと居心地の良さは、風が吹けばすぐにキレそうでヤワな関係だけれど。それでも、仲間がいるという
安心感と、話す相手がいる楽しさは、俺にとってもう、かけがえのないものになっていた。
「なんかこうして言うのも照れるけどさ、まあ、うん、踏み出そうぜ、俺たちの一歩を」
「ユウもたまにはいいこと言うじゃん。うんうん、踏み出そうよ、一歩を」
「そうだね、踏み出そう、僕たちの一歩を」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 この暮らしをしてから分かったことが二つある。仕事はコミュニケーションであり、生活も、コミュニ
ケーションである、ということ。俺たちニートが親に対して申し訳なくなればなるほど、親との間の壁は
どんどん高くなり、絶壁になったところで、親とは無視する関係になってしまう。同じ屋根の下に住んで
いるけれど、家族じゃない、他人のような存在。血のつながりなんてどこへやら、結局、人と人を結びつけるのは、
お互いが歩み寄ろうとするコミュニケーションなんだな、と思う。ミンクやナイツの家庭がどうなっているのか、
実際に知らないし、言わないだろうけど、なんとなく、同じなんじゃないかな、って思う。程度の差こそあれ。
 だから、会議が終わった後、普通の人たちが夕食と呼び、俺たちは朝食と呼ぶモノを食べているとき、ふと
思ったんだ、見方を変えれば難しいことも、簡単に思えるモノなんだな、って。人と人の関係って、実は
単純で、そんなに深く考えるほどのものでもなくて、俺たちが変われば、物事はスムーズに進むんだろうなって。
でも、そんなに簡単に変われるなら、俺たちは存在していないわけで。
 考えても仕方ない。行動しなきゃ変われないんだから。それを、ミンクとナイツが教えてくれた、というか、
目を開かせてくれた。今まで決して見ようとはしなかった尾根の先。そこに立てたら、俺たちは変われるんだろうか?
俺たちは、幸せになれるんだろうか?



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「――ちょっっっっっと! マジ、で、きつ、い……」
「辛いなら休憩していいんだよ、ミ――、ちゃん」
 ミンクが左右の肉をぶるんぶるんと揺らしながらラジオ体操を踊っている様は、滑稽で笑いそうになったけれど、
ミンクの辛そうな横顔を見てたら逆に可哀想になってしまった。そのミンクに大丈夫だよと笑いかけるナイツ。
 二人を初めてみたわけだけれど、不思議と違和感がなかった。想像通りの人というか。ミンクはボブカットで
丸顔のちっちゃなデブで、その肥えた肉体をピンクのジャージの下に隠していた。痩せれば可愛いだろうな、と思う。
口の悪い女はアイムソーリーだけれども。ナイツは気のいいおじさん、って感じで、眼鏡にポロシャツ、ジーンズに
通した身体は骨ガラみたいな、絵に描いたような気弱なリーマンって感じ。初めて会ったのに緊張はしなかった。
やはり、この二年間の付き合いは無駄じゃなかった。俺たちの間には、気安い友人という空気が流れている。
ミンクはスカイプで話していたときと同様、同じテンション。ナイツは――どもってる。緊張してるのかな。
 俺たちが今いる場所は市の中でも一番でかい公園の中の草原広場で、これからボランティアの一環としてゴミ拾いを行う予定だ。
総勢三十名ぐらいの人たちと行動を共にするのは久しぶりのことで、不安と期待が半々? みたいな、なんか
表現しにくい気持ち。俺たちみたいなタイプの人もいるみたいで、横目で観察してるんだけれど、よくわからない。
実はニートって、話したりしてみないと分からないものなのかもしれない。
「――あの、ねえ、ゆ、ユウ君?」
 ナイツのひそひそとあたりをはばかるような声に振り向くと、なんだかどうしていいかわからないような顔をしていた。
「どうかしたんですか?」
「いや、その、いまさら、なんだけどね。僕たち、名前、どうしようか」
 名前。確かにそうだ。俺はユウだからまだしも、ミンクとナイツはハンドルネームだから呼びにくいだろう。
なぜ事前に気づかなかったのか。やはりニートになると脳細胞もニート化するらしい。
「あ……。と、とりあえずナ、ナ、ナ、ナナセさん、でどうですか?」
「あ、いや、僕はその、ほんと今更なんだけど、ホンダ、っていうんだよね。それで、知り合いの人と話をしてるから。
ユウ君はそのまま、ユウ君、でいいんだけれど、あの、それで、彼女……は?」
 ミンク。俺たちの小さな悩みもなんのその、たかがラジオ体操でヒィヒィ言ってる女。こんな女を見ていると、
人間ってほんとに種族がいっぱいだな、なんて思うんだけれど、それはおいておいて。名前、か。ミンク、ミンク、ミンク、
ミンク。逆から読むとクンミ。クミでいいか。こんな女にはこれで十分だ。
「クミ、とかどうですか?」
「あっ、うん、そうだね、それでいこう。クミちゃんには僕から話しておくから」
「はい」
 ナイツは早速ミンクに向かってひそひそと「きみ、なまえ、くみ、になったから、あの、ここだけの名前だけど、よろしくね」と
つっかえながら言っていた。ナイツはホントに気が小さいんだな、と思う。俺はミンクを見た瞬間から下に見てるけど、
ナイツの中ではまだ同等らしい。びっくりさせたら死んじゃいそうなノミの心臓。ナイツは果たして笑って死ねるのだろうか?
「――はい、一、二、三、四っ! 終わりーっ! みなさんおつかれさまでしたー」
 進行役なのだろうか、元気はつらつなおばさんが腕を高く上げると、周りのみんながさぁっと集合していく。俺たちもそれに続いた。
「はい、みなさん、ラジオ体操おつかれさまでしたっ! 今日これから行うボランティア活動は、公園内のゴミ拾いです。
一人ずつに可燃、不可燃のゴミ袋と、トングをお渡ししますので、しばらくおまちをぉ」
 おばさんは脇においてあった大きなカバンからゴミ袋とトングを取り出し、参加者に配り始める。
「――っふううううう……。ラジオ体操って、意外ときついんだね」
 ミンクが一目もはばからず、はあはあと肩で息をしていて、こいつはほんとに対人恐怖症なのかと思ったけれども、
多少の齟齬ぐらい、二年の付き合いなんだから水に流してもいいか。
「あっ、ユウ君、クミちゃん。今日は僕ら三人行動だから、他の人と一緒にはならないから、安心してね」
 ナイツがそう言うと、ミンクは当然のような顔でありがとうをいい、俺は――ナイツがミンクをちゃんづけで呼んでることに、
なぜかすごい違和感を感じていた。なんでだろう?
「はいこれ、あなたの分ね。頑張って公園を綺麗にしましょうねっ!」
 にこやかに、そして元気にはきはきと喋るおばさんを見るのは小学校以来で、少しばかり萎縮したけれど、俺は
どうどうと道具を受け取れた。そんな自分に満足する。小さいなあ、とも思うけれど、リハビリと思えばいい。これは
俺が真人間になるためのリハビリなんだ。そうだ、リハビリだ。レッツ・リハビリ。
「クミちゃん、ユウ君、あっちから行くことになったから」
 ナイツの指差す方向は、遊戯広場で、子供たちが多くいる場所だった。さすがにこんな朝早く――といっても午前十時――には
いないだろう。子供なんてウザったい奴らの相手なんて死んでもしたくない。俺は高校受験以来、神に祈った。
「クミちゃん、どう? だいじょうぶかな?」
「あっ、うん、もうだいじょびだよっ! いやぁ、久々に身体動かしたら体中がビキビキいっちゃって、死ぬかと思ったっ!」
 あと一万回ぐらい死ねばちょっとはマシになるかもなぁ。
「そうだよね、長い間身体を動かしてないと、そうなっちゃうよねぇ」
 ナイツの語尾が延びた。なんでだろう。
「ウチ、ほっんとに久々だったからさぁ、ほんと死にそうだったもんホント」
 ホントにこいつはほんとを何回言うんだろうホントに。
「うんうん、分かるよ、僕もそうだったから。急に身体を動かすとね、筋肉がビックリしてね、肉離れを、あの、
起こしちゃうかもしれないから、あの、ホント変な意味じゃないんだけどね、その、マッサージ、をね、あの、や、やろう、か?」
 ナイツが顔をヒクヒクニヤニヤさせながらミンクに言う様は、なんと言えばいいだろうか、鯉が餌欲しさに水面に顔を突き出している、
そんな様、だろうか。傍から見てる分にはおもしろい画だけれど、当人は必死すぎて気づいていないこの変な空気。ミンクが少し気の毒になった。
「えぇぇぇぇ~、う~ん、でもぉ~」
 満更でもなさそうなミンクが媚態、ん? 媚態、でいいんだろうか? とにかく、媚態を羞恥心もなく曝け出している。
「うん、その、抵抗あるのはしょうがないと思う、僕、男だからね。でも、ほんと、決して、そんな変な気はいっさいないから、安心して、ね?」
「う~ん、まぁ、ホンダさんがそういうなら、ねぇ~?」と、俺になぜか同意を求めてくる。なんなんだろうこいつらは。
「あ、じゃあ、足からやるから、ちょっとうつ伏せで寝転がってくれる?」
「もぅ~、ホンダさんに押し切られちゃったぁ? うつぶせですかぁ~?」
「うん、その、楽、な、ね、姿勢で、いいから。ね?」
「はぁ~い、こうですかぁ~?」
「うん、それで、いいよぉ。じゃあっ、はじめるねぇ」
「やだぁなんか照れるぅ~」
「ほら、じっとして、ね? よしっ、はじめるからねぇ」
「うふふふふ、よろしくおねがいしますぅ」
 ナイツの手がボンレスハムに伸び、ボンレスハムをニギニギしたり撫でたり。ピンク色のボンレスハムが凹んだり片寄ったり。
キャッキャウフフ、みたいな漫画的形容詞が似合いそうなワンシーン。俺はそれを一メートルと少しぐらい間隔を空けて見ている。
ナイツとミンクの至福そうな顔。顔。顔。
 俺は一体、ココに何をしに来たんだろう?



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そう、これはもう俺にとっての儀式であって一日のリズムを刻むためには通過しなければ
ならない一つの通過点なのだ――。なんてことを考えながらニュースの欄を眺めていると、
ある記事が目にとまった。

>『青少年厚生施設会館』廃講へ 無料という言葉の甘い罠!

 はて、なぜか見覚えのあるニュースがある。気になったので記事を読んだところ、次のような内容だった。

 ニートや引きこもりの支援施設であり、就職支援でもあった当館は、とんだ詐欺施設であった。
ニートや引きこもりなどの、今や社会現象とまで言われる社会的弱者を相手取り、”授業”は無料、という
甘い蜜で客を引き寄せ、受講契約後に高価な教科書や機材などを売りつけていたことが、○○によって判明された。
被害総額は延べ一千万円ともいわれており、今後こういった犯罪の模倣犯が現れるかもしれず、差し伸べられた手が
実は罠だったとならぬよう、市民の皆様にはよりいっそうの自己防衛の必要がでてきており――。

 とんだ馬鹿な親もいたものだ。こんな単純なロジックも見破れずに、わが子を更生させようなどと片腹痛いわけで。
そもそもこんなくだらない詐欺に引っかかる親だからそんな不肖の子を育ててしまうんだよな。他人に預けて更生するとでも、
ホントに思ってるのかねぇ? そもそも――。
 そんな思考を遮るように、ポーンと聞きなれた電子音が鳴り、メールが届いたのが分かった。早速開いてみると、
こう書いてある。

>今何時ですかぁ? ねぇ、時間も守れないの? 小学生なの? ねぇ?

 リンゴから催促のメールが来た。でも用件が書いてないから一体何の時間なのか分からないんだよね。
どうして女ってやつはこう馬鹿なのかねぇ? 俺のAndroid携帯のほうが頭いいんじゃね?
 ため息をつきながらスカイプを立ち上げると早速コール音が鳴り響いた。
「もしもし――」


【完】
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