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散文誌

日記・小説

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子供の頃、闇にはとても恐ろしいものが潜んでいると、祖母は言っていた。それを聞いた私は、怖がりながらも、色々な怪物を想像したものだった。ミイラやバンパイア、ゾンビや死神等、その日見聞きした事によって、怪物は様々に形を変えた。あの頃はとても怖かった闇が、今は私の唯一の友となっている。怪物などいない、闇と私だけの檻。いや、私が怪物なのかもしれない。

この広い世界で、孤独を感じる人間は何人いるのだろうか。百人?千人?一万人?もしかしたら、誰しも感じたことはあるかもしれない。

でも、本当の孤独を―――暗闇に閉じ込められ、身動きできず、話す事すらできない、真の孤独を味わった人間は、私しかいないだろう。私はそれを、冷独と呼んでいる。

私の小さな世界に冬とともに訪れ、過酷で残酷な運命へと導き、やがては死ぬことすらできない身へ変事させたあの出来事が私を暗黒に閉じ込め、そして人権という名の偽善が造り上げたこの邪悪な代物が、私を生き永らえさせている。
死ぬことはできないのだ。私の生死は、私の意志でどうこうできるものではない。あれを破壊することができれば、私の意に反して生にしがみつく忌まわしい肉塊の息の根を止め、この暗黒の檻から抜け出せるのだろうか。

いや、そもそも私は生きているのか、死んでいるのか?考える事はできる。聞き事はできる。眠ることはできる。しかし、それ以外は何もできないのだ。体を動かすことも、見ることも、話す事もできない、この他人から見れば死人も同然の私が、人として生きていると言えるのだろうか。

ここにはあの悪魔ども以外、私のもとへ来る者はいない。記憶と闇に慰めを求める無為な日々には、もううんざりだ。既に月日の感覚はない。どのくらいこの檻にいるのか。私はいつになったら死ねるのか。怪物どもはどこにいる。死神はいないのか。

もう私は死んでいるのかもしれない。ここは地獄か、天国か?死後の世界とはこんなにも孤独なものなのだろうか。何故、私だけなのか。私より前に死んだ人間はどこにいるのか。別の檻に入れられているのか?
私は知りたい、私は―――





・・・光が見える。小さな、星のような瞬き。明滅するその儚げな輝きに魅とれていると、それは徐々に輝きを増して広がっていき、片手で掴めそうな大きさになって初めて、明滅だと思っていたそれが、影だと気付いた。球状に輝く光の中から、半ば光を覆うように、漆黒の影は出てくる。
次々に出てくる影が光を闇に変えながら、微かな足音とともに、こちらへ近づいてくる。
影は数を増して光の球をいびつな形に変え、今では亀裂の入った壁から差し込む光のように見える。いつしか、微かな声も聞こえ始めた。

「だ・・・ら、こん・・・ましょ・・・・・」
「わか・・・かん・・はしょくぶ・・・・・・」

「かわ・・・どう・・・い・・・・・・」

「し・・・・・・な・・・・・・」

断続して聞こえる影の声は、足音が弱まるとともに不明瞭になり、やがて聞こえなくなった。その間も、影は光を覆っていき、今はもう、星のような瞬きにしか見えない。そして―――





目が覚めると、そこは闇だった。
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